塩の真実

❼天然塩

塩摂取の基本は、天然塩を積極的に摂り、精製塩は摂取しないということです。

精製された塩の摂取は厳禁です。高血圧に影響を与えるのはこの精製塩であり、ミネラル豊富な天然塩と精製塩を同じように扱うことはできません。

1905年から1997年までは塩は専売制となっており、専売公社が独占し他事業者は塩を売ることができませんでした。1965年にイオン膜技術が実用可能な段階へ入り、精製塩しか手に入らなくなりました。

塩に限らず、米、砂糖なども、精製する前はミネラルを豊富に含み体に栄養となるが、精製後は体を害するものになるということは広く知られています。

塩が高血圧の原因というのは真実なのでしょうか。

以下は九州大学の川崎晃一氏の「血圧とミネラルとの関連に関する研究」のレポートからの抜粋です。

「筆者らはまた、食塩摂取量を著しく変動させた短期間の介入実験で、食塩制限時に血圧がむしろ上昇し、食塩負荷時に血圧が下降する症例を約20%に認め、SS群やNSS群に対してこれらをparadoxically saltsensitive(PSS)群と仮称した26)27)。ほぼ同じ時期に同様の報告があったが、それによるといわゆるPSS群に属する症例は17%存在したと述べている52)。食塩に対する感受性の違いは本態性高血圧症患者のみではなく、 正常血圧者においても存在するといわれている 55)。」

減塩時に血圧上昇し、食塩をたくさん摂取したときに血圧が下がる症例が20%あったということです。食塩を摂取すると血圧が上がるという説がこの実験では成り立たないことが証明されています。(https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/640/018_p001.pdf

また、アメリカに「J・A・M・A」というアメリカ医師会発行の臨床医学雑誌があります。1983年7月15号に以下の論文が発表されました。コネチカット州に住む2100万人を対象とした調査で原因が明らかになっているものを除き、約8割の人には減塩による血圧降下がほとんど認められなかったというものです。

カリフォルニア大学のジャーク・レーブ教授が「精製塩は毒」であるという論文を発表しています。レーブ教授は純粋に稚魚を放ち、海水魚には人工海水を、淡水魚には生理食塩水を与えました。自然海塩の溶液では問題ないが、化学塩の溶液で生物は生きられないということが証明されました。

「塩が血圧を上げる」は正確には、「精製塩が血圧を上げる」ということです。

1965年から1997年までの長い間精製塩を日本人は食べ続けてきたため、塩は血圧を上げる悪いものという誤った概念が生まれましたが、ミネラルを豊富に含み、「体を滋養してくれる天然塩」と「害が大きい精製塩」の話が混ざってしまい、誤解を生んでいるわけです。

ここで血圧の基準値の歴史を振り返ってみたいと思います。血圧の基準値がどんどんどん変わってきています。

日本で血圧の基準が定められたのは1987年のことで、当時、厚生労働省は「上(収縮期血圧)が180㎜/Hg以上」を高血圧の基準としていました。ところが日本高血圧学会は2000年にこの基準を「140以上」にまで引き下げました。

さらに2019年になると同会は、高血圧治療ガイドラインの改訂に伴って、高血圧の診断基準は140以上のままとしながらも、それまで正常の血圧とされていた130~139を「高値血圧」(正常よりも高めの血圧)に分類しました。

これにより得したのは誰でしょうか。それは製薬会社です。基準値を厳しくすれば治療対象者が増えますので、薬が売れるというわけです。

高齢者の血圧が低いと認知症と寝たきりになるともいわれます。高齢になると動脈血管の弾力が失われ、血圧を上げないと脳が虚血になり、痴呆症になりやすくなります。本当に命に関わる場合を除き、降圧剤を服薬してはいけないのです。

また、脳が虚血になるとふらつくため、転倒骨折しやすくなります。認知症や転倒・骨折を防ぐためには、高齢者の血圧は高くなくてはいけないのです。高齢になると血管硬化度に応じて体が自動的に血圧を高くしてくれています。これをわざわざ下げるというのは、自ら痴呆症と転倒・骨折の原因を作っているのと一緒です。

痴呆症と転倒・骨折がなぜいけないかと言うと、どちらも寝たきりの大きな要因だからです。平成28(2016)年の国民生活基礎調査(厚生労働省)では要介護度5(寝たきり)の方の原因は脳血管疾患(脳卒中) 30・8%、 認知症 20・4%、 骨折・転倒 10・2%となり、認知症・骨折・転倒という塩不足により起こりやすい原因で寝たきりになっている方が3割もいるのです。

高齢者の認知症や転倒・骨折による寝たきり防止のためにはミネラルが豊富な天然塩を積極的に摂り、血圧を上げる必要があるのです。

カリウムはナトリウムを排泄する働きがあり、カリウムが豊富な天然塩を取っていればナトリウム過剰にはならないのです。

マグネシウムの不足は血管や心臓などの弾力性を失わせ、自律神経の失調をもたらして脳梗塞や心筋梗塞、心臓疾患などの原因になると考えられています。

マグネシウムを含んだ天然塩を積極的にとると、血管や心臓などの弾力を保持することができ、要介護度5(寝たきり)の方の原因の第1位で、寝たきりの原因の3割を占める脳血管疾患(脳卒中)を予防することにもなるのです。

カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラル類はPMS(月経前緊張症)や生理中のむくみの軽減に効果があります。私は海水を噴霧して作る、にがり成分が26%以上の天然塩を積極的に摂るようにしています。

高安正勝著の『ぬちまーすの力』に紹介されている通り、ぬちまーすを積極的に摂取することで生理痛が治ったり、流産したことがある人が健康な赤ちゃんを生むことができたという例が多いのです。

天然塩でミネラルを補うことは、妊娠期や更年期を安定的に過ごすことに繋がるのです。